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桐の下駄です。

桐の下駄です。

 いつも履いてる下駄。これは僕の板前生活のルーツです。
修行を始めた東京の10年間、ずっと下駄でした。

初めて親方(オヤジと読みます。呼ぶときは「オヤっさん」です)に会って最初に連れて行かれたのは、履物屋。
そこで下駄と足袋を買わされたのが板前の始まりでした。
面接なんてのは無くて、ボールペンを二本渡されて「箸の持ち方やってみろ」これだけ。すぐさま、履物屋→調理場です。(人身売買だ。これじゃ)

やっぱり修行は辛かったです(涙)
朝から終電まで、ずっと仕事。
包丁なんかも、ろくに使えませんから、最初は人参の皮むきとか、ランチのお新香付けたり。
買い物も随分と行かされましたね。
僕は板前始めるのが遅くて、26歳の時からでした。
調理場は実力社会なんで、中学校卒業して、すぐ、この道に入ってたりするとハタチくらいの子が5~6年やってる大先輩だったりする訳で、「きゅうり、買ってきて」なんて言われて。
(自分の発注ミスじゃねぇかよ)なんて思いながら渋谷のセンター街をガッガッガッって下駄で走りまわってました。(皆、振り返ります)

意地悪な先輩もいたりして、熱い油を足にポトンとか、焼けた金串を腕にジュッとか。(泣)  何でそんなことすんですかね?

オヤジにもホントよく叱られました。毎日毎日よく叱られました。こっちも頭にきますから、下駄でトイレの壁を蹴飛ばして穴あけたりして。。。 すぐバレましたけど^^;

今思えば、叱るほうも、すごくパワーが必要で大変だっただろうと思います。オヤジが親身になって叱ってくれたから今の僕があるようなもんです。

オヤジには本当に感謝しています。

厚木に戻ってきてからは靴やぞうりを履いて仕事をしてましたが、「つくし」を始めるのをきっかけに、また下駄を履き始めました。

下駄には想い入れがあります

下駄には想い入れがあります

「初心、忘れずべからず」です。

それと、鼻緒の色。黒でしょ。
黒い鼻緒はオヤジだけしか履けません。
下っ端は白いビニールの鼻緒の下駄です。
「いつか、黒い鼻緒の下駄、履きてぇな~」って、ずっと思ってました。

下駄は、ちょっと足が痛いですけど、「自分に渇!」と思って、これからも下駄でカラコロいくつもりです。

オヤジになったのですから、しっかりやらないと・・・

 

きょう来てくださったみなさん、
読んでくださったみなさん、ありがとうございます。

あしたも良い一日を・・・  おやすみなさい・・・